「奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝」
愛読書は何かと問われれば、迷うことなく「奇跡の人ヘレンケラー自伝」と答えるだろう。この本はいつでも僕を奮い立たせてくれる。
彼女の語る視点は、もちろん皆さんご存じのサリバン先生や周りの人たちの温かい環境があったからに他ならないのだけど、限られた五感を通じてたくましく視野を広げていく姿は、僕のさびれた感覚を奮い立たせるに十分な刺激を与えてくれる。特に手のひらに一文字ずつ書いていき、やがては言葉の理解へと繋げがっていく描写には驚かされるばかり。読むほどに、まるで呼吸のように一節ごと体にその情景が吸いこまれていく。彼女が言葉を取得するスピードはすごくゆっくりなのだけど、熱心に伝えれば伝えるほどそれに応えようとするエネルギーは増幅され、彼女は自ずと喜びを持ってその感知力を鋭く研ぎ澄ましていく。
インプットもアウトプットも目に見えない世界(突き動かされる感情や魂といった源、天命を知るといった内在するもの)の情報空間と同化していく作業と捉えたなら、まずは焦点を合わせてそれを捉える運動神経を養う必要がある。つまり五感に不自由があったとしても、自分と向き合い感知力を高めていくことは十分に可能であるということだ。彼女にとって障害とは、立ちふさがる壁ではないのだと、そういった読後感を味わうことができる一冊でした。


